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大雨で道路が冠水し、家の周りに水が来はじめたとき、何を持って、どう動くか。台風や線状降水帯のたびに同じ場面が繰り返されていますが、いざその瞬間になると「長靴でいいのか」「車で行けるのか」で迷います。
この記事は、国土交通省・気象庁・内閣府・JAF・厚生労働省が公開している資料の文をそのまま引いて「逃げるときの動き方」を確認し、そのうえで、キャンプをする家庭なら家にある道具のどれがそのまま使えるかを当てはめたものです。
買い足す話は最後に少しだけ。まずは今あるもので何ができるかを見てください。
いつ逃げるかは、自治体の警戒レベルで決める
逃げるタイミングを自分の感覚で決めないための物差しが「警戒レベル」です。内閣府のガイドラインでは、警戒レベル3が「高齢者等避難」、警戒レベル4が「避難指示」、警戒レベル5が「緊急安全確保」で、一覧表には「警戒レベル4までに必ず避難!」と記されています。
気象庁は洪水について、「自治体から警戒レベル4避難指示等が発令されたときには速やかに必要な避難行動をとってください」とし、洪水キキクルについては「遅くとも『危険』(紫)の危険度が出現した段階で、速やかに避難を開始することが重要です」と説明しています。
家にとどまる「屋内安全確保」が選べない場所もあります。気象庁は「最上階の床の高さまで浸水すると想定される場所、半地下構造の建物に氾濫水が流入する場所、あるいは、ゼロメートル地帯などで長期間浸水が継続すると想定される場所などでは、屋内で待避していても命に危険が及びますので、立退き避難が必要です」としています。自分の家がどれに当たるかは、市町村の洪水ハザードマップで前もって確認しておくものです。
家を出る前に:両手を空ける、長靴を履かない
国土交通省の「川の防災情報」は、避難のときの持ち物と服装をこう書いています。「持ち物はリュックで、手は自由に、長靴よりひも付き運動靴で避難しましょう」。
キャンプ道具の当てはめは次の通りです。いずれも編集部の当てはめで、公的資料が特定の道具を勧めているわけではありません。
- ザック(登山・キャンプ用のリュック):「持ち物はリュックで、手は自由に」の通り。腰ベルトと胸ベルトがあるものは体に固定でき、荷物が揺れにくい。
- ドライバッグ・ドライサック:書類、スマホ、充電器、薬、現金を入れる。ザックの中身が濡れないための袋。
- ひも付きの運動靴・トレッキングシューズ:「長靴よりひも付き運動靴」の通り。長靴は避ける。
- レインウェアの上下:傘は片手を塞ぐので、「手は自由に」に沿うなら雨具は着るもので。
- ヘッドライト:両手を空けたまま足下を照らせる。夜に停電した中を動くならランタンより先にこれ。
- ホイッスル(笛):登山用ザックに付いていることが多い。声より遠くに届く合図の道具。
リュックに入れるものは、既存の記事で
中身のリストはすでに別の記事にまとめています。防災リュック 家族・子連れ向けおすすめと中身リスト、子連れ防災グッズ|乳幼児に必要なもの完全リスト、停電時にスマホを充電する方法をどうぞ。
水の中を歩かざるを得ないとき:膝より上なら渡らない
ここは自分の判断を足さず、公的資料の文だけを置きます。国土交通省は「関川水害における調査結果によれば、浸水深が膝(0.5m)の高さ以上になると、ほとんどの人が避難困難でした」「氾濫した水の流れは、勢いが強いので水深が膝程度あると大人でも歩くのが困難になります。緊急避難として、高い堅牢な建物にとどまることも選択肢の一つです」としています。
足下が見えない危険についてはこう書かれています。「氾濫した水は、茶色く濁っており、水路と道路の境や、ふたが開いているマンホールの穴は、見えません。やむを得ず水の中を移動するときは、棒で足下を確認しながら移動しましょう」。
- トレッキングポール(当てはめ):「棒で足下を確認しながら」の棒として。伸縮式なら自分の背丈に合わせられます。
- ライフジャケット(当てはめ):川遊び用が家にある家庭は、子どもに着せる浮力の道具になります。ただし「着ければ渡れる」ものではありません。膝より上の水に入らないことが先です。
車で逃げるとき:冠水した道路に入らない
車での避難は、水が来る前なら有効ですが、冠水した道路そのものが危険です。JAFは「冠水した道路は、見た目だけでは水深をはかることができないため、いざ進入してしまうと、思いのほか深いことがあります」「安易に冠水路には入らない」としています。
JAFのテストでは、浸水深30cmは走行できたものの「同じ浸水深でも速度が高くなると巻き上げる水の量が多くなり、エンジンに水が入りやすくなります」。水深60cmでは「フロントガラスの下端まで水をかぶり、すぐには止まらずも、登りのスロープに差し掛かった31m地点でエンジン停止」でした。
止まってしまった後の脱出について、JAFは「水深60cmでは水圧の影響により、通常の5倍近くの力が必要になることがわかった」「セダン、ミニバンともに『後輪が浮いている状態』では、車外の水位が高いためドアに外から強い水圧がかかり開けられなかった」「車両が前傾して浮いている場合、後席のドアなど水圧の影響を受けにくいドアから脱出を試みる」「万が一に備えて、脱出用ハンマーを車内の手に届くところに常備しておくことが大切です」「一部車種のドア(サイド)ガラスは、フロントガラスと同様に合わせガラスを採用しているため、割れない場合があります」と説明しています。
- 脱出用ハンマー:キャンプ道具ではありませんが、車中泊をする人の必需品として。手の届く所に固定します。自分の車のサイドガラスが合わせガラスかどうかは取扱説明書で確認を。
- 車中泊用のマットと寝袋(当てはめ):避難先が車になった夜の寝床。
- 折りたたみの給水タンクと水(当てはめ):下の厚生労働省の注意にある「十分に水分」のための道具。
車の中で夜を越すときの健康上の注意は厚生労働省がまとめています。「狭い車内などで寝起きを余儀なくされている方は、定期的に体を動かし、十分に水分をとるように心がけましょう。アルコール、コーヒーなどは利尿作用があり、飲んだ以上に水分となって体外に出てしまうので避けましょう。できるだけゆったりとした服を着ましょう」。
車中泊そのものの道具選びは、車中泊ポータブル電源の選び方とポータブル電源のパススルーと常時給電にまとめています。
避難先で、断水と停電が続いたら
水が引いたあとも、断水と停電は数日続くことがあります。ここからは、キャンプ道具がそのまま「暮らしの道具」になる場面です。
- 携帯トイレ・簡易トイレ:断水で水洗が使えないときの最初の困りごと。簡易トイレ・携帯トイレおすすめ9選。
- 折りたたみ給水タンク:給水車から運ぶ容器。普段はたたんで場所を取りません。
- カセットコンロ:電気とガスが止まったあとの火。避難所では火気のルールに従います。
- ランタン・ヘッドライト:夜の明かり。
- ポータブル電源・モバイルバッテリー:スマホ、ラジオ、扇風機。停電の備えに必要なものリストと災害時の発電機とポータブル電源の比較。
一人暮らしの場合は防災グッズを揃えるリスト【一人暮らし・停電対策版】が近い内容です。
家にあるキャンプ道具で、今日そろえておけるもの
ここまでの当てはめのうち、キャンプをしていない家庭でも安く揃えられる3つだけを挙げます。価格と在庫は楽天の実値を毎晩そろえていますが、押した先で必ず確認してください。
書類とスマホを濡らさないための袋。ザックの中に入れて使います。
断水の最初の困りごとに。人数×日数で足りる数を。
給水車から水を運ぶ容器。普段は折りたたんでおけます。
出典(公的資料)
- 国土交通省 川の防災情報「浸水深と避難行動について」:city.river.go.jp
- 気象庁「洪水に関する防災気象情報の活用」:jma.go.jp
- 内閣府「避難情報に関するガイドライン」:bousai.go.jp
- JAF「台風・大雨時のクルマに関する注意点」「水深何cmまでドアは開くのか?(JAFユーザーテスト)」:jaf.or.jp/jaf.or.jp(ドアのテスト)
- 厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」:mhlw.go.jp
引用文は各資料の記述をそのまま載せています。資料は改定されることがあるので、最新の内容は各リンク先でご確認ください。
